2022年8月の「LastPass」ハッキング被害、顧客データも盗まれていた ~当初想定より深刻-窓の杜
絆ワークプロジェクトでは、社員の引き抜きやデータ不正持ち出しなど、企業の不正に関する事例について取り上げ、皆様へ情報共有を行っております。
◇◇◇
2022年8月の「LastPass」ハッキング被害、顧客データも盗まれていた ~当初想定より深刻
この事例の3つのポイント
①開発環境から技術情報の一部が盗まれた
②さらに別の従業員のクラウドも標的に
③第三者がデータを復元することは不可能
パスワード管理ツール「LastPass」が今年8月、ハッキングを受けた件について、米LastPassは8月25日(現地時間)、現在進行中の調査結果を公表したと窓の杜が伝えている。
2022年8月のインシデントは、同社の開発環境からソースコードを技術情報の一部が盗まれたというもの。同社は当初、顧客のデータや暗号化されたパスワード保管庫にアクセスされた形跡はないとしていた。
しかしその後の調査で、さらに別の従業員を標的とした攻撃が行われ、同社が利用しているクラウドストレージの、一部ボリュームへのアクセスと復号化に使用される認証情報とキーが奪われていたことが判明した。攻撃を受けたクラウドストレージからデータがコピーされていたと思われるという。
「LastPass」の本番サービスは、オンプレミスのデータセンターで運用されており、クラウドストレージは開発環境から物理的に分離されている。ただし、クラウドストレージはバックアップの保存などさまざまな用途に利用されている。
攻撃者はコピーしたバックアップデータから会社名、エンドユーザー名、請求先住所、メールアドレス、電話番号、顧客が「LastPass」サービスにアクセスしているIPアドレスなど、アカウントの基本情報と関連するメタデータにアクセスしたと判断された。
一方、ユーザー名やパスワード、セキュアノートなどはデバイスレベルで完全に暗号化されており、マスターパスワードによって保護されている。マスターパスワードは「LastPass」すら知ることはできず、ユーザーから流出したり、脆弱な運用がなされていない限り、第三者がデータを復号することは困難だという。
逆に言えば、マスターパスワードこそが最後の砦だったといえるだろう。同社はマスターパスワードを他のWebサイトでは決して再利用しないように呼び掛けている。