裏社会に出回る「闇名簿」 コピーが回り、一度だまされた人は再び標的に-中国新聞デジタル
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絆ワークプロジェクトでは、社員の引き抜きやデータ不正持ち出しなど、企業の不正に関する事例について取り上げ、皆様へ情報共有を行っております。
裏社会に出回る「闇名簿」 コピーが回り、一度だまされた人は再び標的に
この事例の3つのポイント
①「闇名簿」なる個人情報が流出している
②裏社会では高額取引されるケースも
③名簿は内部関係者からの流出がほとんど
特殊詐欺グループは、ターゲットの詳しい情報を把握した上でだましの電話をかけてくる。よりどころとするのは名簿だ。名前や年齢、住所、電話番号に加え、資産状況なども記され、関東地方を中心に相次いだ広域強盗事件でもクローズアップされた。いったん流出した名簿は裏社会を巡り続け、精度を高めて犯行グループの手に渡るという。関係者を訪ね、名簿が出回る背景や業界の実態を探った。すると犯行グループとつながる悪質業者らの存在とともに、規制強化にあえぐ正規業者の姿が見えてきたと中国新聞デジタルが伝えています。
印字された膨大なエクセルファイルにはリスト名が振られ、その下に個人情報が項目ごとに羅列されている。名前や住所、電話番号だけではない。配偶者の有無や家族構成、資産状況を記録された人がいる。「優しそう」「すぐ怒る」「しゃべり好き」といった性格までも……。
特殊詐欺の電話をかける際に使われる名簿。取材班はこれまでの取材で、詐欺グループから押収された複数の実物を確認した。関係者の証言を合わせると、そこには通常知り得ない詳細な情報が含まれる。「闇名簿」とも呼ばれる。
なぜこうした名簿が存在し、詐欺グループの手元にあるのか。取材班は手掛かりを探るため、個人情報の問題に詳しい一般財団法人情報法制研究所(東京)の鈴木正朝理事長を訪ねた。鈴木理事長はこう解説した。例えば高額商品の購入者リスト。「営業秘密だから流出元はほぼ内部者。金に困るなどし、アクセス権を持つ人物が裏切るケースがある」
実際、過去には大手百貨店の従業員や通信教育業者の委託先の社員が顧客データを名簿業者に売却した事例があった。鈴木理事長は「もし電子データをコピーされたら流出に気付かない企業は山ほどある」とも指摘する。こうしてデータは名簿業者に渡る。そこに犯罪組織がすり寄っていくという。